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ストレスチェック受検を拒否した場合のリスクは?

ストレスチェックの実施は企業の義務

年に1回のストレスチェック実施は、事業場にて50名以上の従業員を抱える企業にとって義務となっています。

ただ、実施することは義務化されてるものの、働く人が受検することまでは法的に義務付けられていません。また、高ストレス者への面接指導も従業員本人からの希望や申出がなければ、企業は強制的に受けさせることはできないのです。

本記事では、ストレスチェックの受検を拒否した場合、そして受検後の面接指導を実施しなかった場合のリスクとその対応策について紹介しています。

社員が拒否しても、法的責任は追及される?

従業員が50名を超える事業場では、年に1回のストレスチェックを実施することが義務とされています。

その一方で、労働安全衛生法や厚生労働省の定めるガイドラインを見ると、従業員にストレスチェックを受検させることや、面接指導に関して絶対的な強制力をもったものではないことがわかります。

つまり、ストレスチェックを受検するか否かは、あくまで従業員の自由意思を尊重したものとなっています。

だからといって「忙しいからストレスチェックの受検をパスしよう」「悪い結果が出そうだから、ストレスチェックは受検しないでおこう」というふうに、受検を避けることはお勧めできません。

また、企業においても、「従業員がストレスチェックの受検を拒否したので、企業として法的責任を全うしている」とは言い切ることはできないはずです。

企業側にストレスチェックの実施義務が規定されているにもかかわらず、従業員側にはその受検義務が無いことにより、こうした判断が生じる恐れがあります。しかしこれは従業員・企業の双方にとってデメリットがあり、潜在的な労務リスクを抱える状況を招く可能性があるのです。

よって、働く人はストレスチェックを受検するようにし、企業もストレスチェックを実施する目的を周知する等して、理解を深めるようにしましょう。

その理由は、従業員にストレスチェックを拒否されたからという理由で、未受検者を放置しておくと、安全配慮義務違反とみなされることがあるためです。

安全配慮義務とは

事業主・企業には、従業員の安全や健康を守ることが義務付けられており、これが「安全配慮義務」というもの。安全配慮義務は労働契約法の第5条に定められた法律です。

安全配慮義務と聞くと、危険な場所で行われる業務や有害物質を取り扱う職種を思い浮かべる人も多いと思いますが、こうした労災防止の観点における身体的な安全のみならず、メンタルヘルスなど心理的な安全も含むと解釈されています。

つまり、企業は従業員のメンタルヘルス不調の防止に向けた対処を行うことも求められています。

(労働者の安全への配慮)

第五条  使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

引用元:労働契約法

自己保健義務とは

安全配慮義務は企業の義務ですが、従業員が自身の健康を守ることも労働者としての義務であり、これは自己保健義務と呼ばれます。つまり、安全配慮義務との違いは義務の対象者にあります。

自己保健義務の内容は、労働者が自身の健康を維持するために努めるというもの。労働安全衛生法第69条第2項に「労働者は、前項の事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする。」 と規定されています。

ストレスチェック未実施は企業の安全配慮義務違反

安全配慮義務の観点から考えると、ストレスチェックの受検を従業員が拒否した、もしくは従業員からの申出があったにもかかわらず医師による面接指導を行わなかった、など適切な対応をしなかった場合には、安全配慮義務違反とみなされるリスクがあります。

例えば、メンタルヘルス不調による精神障害の発症や、休職等に関して民事訴訟が起きてしまったような際に、その社員がストレスチェックを受検していないことが分かれば企業側が安全配慮義務違反を追求される可能性もあります。

このような場合、企業は社会的信頼を大きく失う恐れすもあることに注意します。このような労務リスクを減らすために、受検や申出を拒否する社員に対して適切な対応を行う必要があります。

もちろん、ストレスチェックにはこうしたメンタルヘルス不調による様々なリスクを回避あるいは低減することも目的とされていますので、働く方も必ず受検するようにしましょう。

ストレスチェックの実施は企業の義務ですが、自身の健康と向き合い、自己保健義務を果たすという意味では、従業員としても受検することが大切になります。

ストレスチェックの目的は、メンタルヘルス不調等を未然に防ぐことや、不調を認知した際に速やかに対処を行うためのものといえます。よって「会社に自分の精神状態を知られてしまうかもしれない」という懸念するのではなく、自己と向き合う機会として受検してみてください。